ルート
西丹沢の大室山へ始めていきます。今までずっと行こうと思いながらも、登山時間が長く、西丹沢からの帰りのバスの本数が少ないため、行くのをためらっていました。すぐ近くの檜洞丸ではシロヤシオが満開で当たり年のため、檜洞丸に行く事も検討しましたが、山頂は密だと思います。まだ行った事がない大室山へ行く事にしました。
新松田駅からバスに始発の乗って西丹沢ビジターセンターに到着しました。バスは満員ではなく、席が僅かに空いてました。ただビジターセンターの駐車場は満車です。多くの登山者は檜洞丸に行ってるんだろうと思います。
緊急事態宣言が解除されましたがビジターセンターは閉館してます。ただ、トイレの使用や登山計画書の記入・提出はできます。パトカーが駐車してありましたが、どうやら松田警察署が檜洞丸で訓練をしているそうです。まさかこの後、檜洞丸で滑落事故が発生するとは誰も予想していません。
いつもなら、このツツジ新道入口で右に入って檜洞丸を目指す所ですが、今日はまっすぐ進みます。ここからは初めましての道になります。
キャンプ場を幾つか通り過ぎています。この日の利用者は結構多かったです。丹沢は登山者に限らずキャンパーにも人気の場所ですね。露天風呂があり、登山者でも利用できると記載がありました。食事処やビールの自販機もあるので、下山後に中川温泉で途中下車しなくて済むのが良いです。
ミツマタ
西丹沢にタランチュラが大量発生したのかと思い、緊急回避をしながらクイックターンを決めようと思ったら、花を咲かせ終えたミツマタでした。
※クイックターンとは一瞬で180度回転し真後ろを向くことのできるアクションです。
去年の台風で陥没した場所を通過します。半年以上経過してこの状態なので、年内修復は難しそうな気がします。
今年の台風が来たら、更に陥没するのでしょうか。
用木沢出合に到着しました。ここまでは平坦な車道です。ここから犬越路を目指していきます。犬越路は「かながわの景勝50選」に選ばれています。
見た目が峠(コル)のようなので、ずっと犬越路を犬越峠と呼んでいたのですが、犬越路峠とも呼ばれるようなので、峠の認識で合ってました。犬越峠... 犬鳴峠... 犬鳴村...
自然に溶け込みやすい色の橋を通過します。
マルバウツギ
ウツギよりも葉が丸いのでマルバと名前が付きました。オレンジ色の花盤と雄しべの主張が強くて、覚えやすそうです。
道標の低さに目が釘付けの場所に来たら、渡渉します。沢の対岸へ渡る事を「渡渉」と言いますが、登山を始めるまでは知らなかった言葉です。渡渉したら朝ごはん休憩をします。
水深が深くなっている場所でも、底がはっきり分かります。水が綺麗です。
サワハコベ
苔の絨毯の上に小さな花が咲いてました。箱庭の世界観です。サワハコベは花弁に浅い切れ込みがありますが、切れ込みがない個体もいるようです。似ている種類のミヤマハコベは切れ込みが深いです。
定期的にピンクの登山テープがないか確認しながら進みます。今日出逢えたら嬉しいのは、シロヤシオ、カモシカ、腐生植物です。目の筋肉を酷使しながら視界から得られる情報を取得します。大室山は登山者が普段から少ないため、静かな山歩きが出来ます。
なのでカモシカに出逢いやすいかもしれない。ただ、動物運が本当にありません。登山する度に、動物に出くわす登山者と何が違うんでしょう。
ヤブウツギ
色んな種類のウツギがありますが、ヤブウツギは初めから濃紅色の花です。他のウツギには白色から紅色へ変色するものもあるようです。
犬越路まであと半分です。ここから次第に登りが始まっていきます。今週は、大倉から丹沢山まで2ヶ月ぶりの登山をしており、筋肉痛によって出だしからふくらはぎが痛い状態です。仮に急ぎたくても急げないので、ゆっくり進みます。
「小木・巨木、関係なく倒木。」早口では言いにくい感じの景色です。今回のルートは難所はありますが、大変危険な箇所はないと思います。ヒルがいないので、更に安心です。
岩場を上へ上へ進んでいきます。ルートを間違えないように、足元だけでなく全体もちゃんと見ていきます。
左から右へ対岸を渡れば難所の入口です。
本日、一番の難所です。ストックをいつも使用しないので、手はいつも暇をしてます。ロープを手で持ちながら進んでいきます。足の筋肉を使わないので楽ですが、ロープが仮に切れても事故らないように、最低限の足の筋肉は使ってます。難所なのに、足が癒されます。
クワガタソウ
花弁が4枚のはずなのに、5枚でした。下の花弁が2枚に分かれています。1枚の花弁が千切れたわけではなく、変形してしまったようです。
タチキランソウ
キランソウと比べると茎が立っており、ニシキゴロモと比べると葉に光沢があります。素人による識別はとっても難しい。
犬越路に到着しました。既に、檜洞丸から犬越路へ下山してくる登山者と何人かすれ違っています。車で来れると、登山も下山も早いですね。
ベンチでおやつ休憩です。今日は夏雲が多く、富士山は見れなそうです。風が吹くと涼しいです。標高は低くても山だと下界より涼しいです。
犬越路避難小屋があり、トイレも完備されています。内部はとても綺麗でした。
小屋の中に利用者日誌があったので、ちょっとめくってみると結構利用者がいるみたいです。中にはステイホーム週間だったゴールデンウイーク中に大阪府から訪れて宿泊利用した人もいるようです。本名書いてあるけれど、大丈夫でしょうか。私は本名を書くのは、ためらってしまいます。
綺麗・便利・無料なので、機械があったら宿泊してみたいです。
ムラサキケマン
ジロボウエンゴサクの花と似ているが葉っぱが違います。丸い葉がジロボウエンゴサクで、切れ込みが多い葉がムラサキケマンです。
大室山まで約2時間、再び歩き出します。ここからはとてもよく整備されており、歩きやすい尾根道が主要となります。
シロヤシオ
なんとかわずかに咲いているシロヤシオですが、ほぼ全てが咲き終えて散っていました。檜洞丸より咲くのが早いようです。残念、また来年です。
キノコに毛がいっぱい生えていました。どうやらカビのようです。キノコとカビ、どちらも真菌類です。分類学的にキノコとカビを明確に分けることはできないようで、見た目は全く違うのに、不思議です。
諦めていた富士山が少しだけ姿を見せてくれました。知らない間に雪解け結構進んでいるけれど、今年は富士登山解禁ならなそう。
「新緑いやほい」の現場に到着しました。
スゲ属の植物です。実にならないと何の種類かは、分かりません。
さっき紹介したクワガタソウは花弁が5枚でしたが、こちらが正常なクワガタソウです。
ベンチを見かけたら、とりあえず休む事にします。
シロヤシオ、既にちりぬるを。花言葉は「愛の喜び」「上品」です。
木道が真新しいです。塔ノ岳や丹沢山など丹沢のメインの木道だけでなく、大室山も整備されていました。
ユキザサ
結構似ている植物にハルナユキザサとヤマトユキザサがありますが、見分けられる経験値はまだありません。
ラン科の腐生植物を見つけました。ツチアケビは生長すると巨大になり、真っ赤な果実がつくので、存在が気づかれやすい植物です。
実はヤマウツボを見つけられたらと思って来ていたのですが、結果は見つかりませんでした。一般的な登山地図に記載されていない手沢右岸尾根を登った方が、見つけやすいのかもしれない。ギンリョウソウもいるようです。
ミツバツツジ
シロヤシオは咲き終わっていましたが、こちらは何とか持ちこたえています。それでも萎れている花も多く、これから咲く蕾と共に混在していました。
登山道を歩いていると、そばの草むらに小鹿が縮こまっていました。死んでいるのかと思ったら、時々肺が膨らんでいるのが分かります。親とはぐれてしまったのでしょうか。全く動かず目を開いたままでした。
標高をあげていくと、バイケイソウとトリカブトの群生地に到着しました。結構な密集度でした。バイケイソウは6〜8月頃が開花時期、トリカブトは8~9月頃が開花時期です。その時期にまた訪れてみたいです。
「登りはつらいよ」けれどゆっくり歩いているせいか、前回の登山で獲得した筋肉痛が悪化することなく、疲労度は登山開始時と変化がありませんでした。朝食を食べていた時に追い抜いて行った登山者が、大室山から下山してきてすれ違いました。大室山までは、もうすぐだそうです。
西の肩に到着です。ここは大室山と加入道山の分岐点です。大室山まではほぼ平坦な道で、標準タイムは5分です。
標高1,587mの大室山の山頂に到着しました。神奈川県が設置した標識です。丹沢で6番目に標高が高い場所です。標高1,567mの丹沢山は7位です。展望はありません。
大室山は神奈川県と山梨県の県境にあるため、山梨百名山の1つにもなっています。
はっ!やらかしてしまいました。緊急事態宣言が解除されましたが、県を跨いでの移動は禁止されています。特に県を跨いでの登山はバッシングの対象ですね。たった今、県を跨いで山梨県に移動してしまいました。ここに、ふか~く陳謝いたします。



ええっと... ボケたつもりですが、このボケは自粛警察に不愉快だとバッシングされてしまそうで、ガクガクブルブル震えています。一応、県を跨いで登山しに行く事と、登山中に一部、県を跨ぐ事は違う事と認識しています。山頂だけ山梨県へお邪魔しちゃいました。
西の肩に戻ってきました。昼食はおにぎりと唐揚げです。お湯を沸かす道具などは何も持ってきていません。今回はバスの時間がシビアで、17:05の次は最終の18:58です。加入道山に行くなら最終の18:58、行かずに往復ピストン行程なら17:05のバスに乗りたいと考えています。膝に負担の少ないゆっくり登山だと、のんびりお湯を沸かす時間は省くのが賢明だと思いました。
加入道山へ行き、ぐるっと一周して西丹沢ビジターセンターへ下山すると、このまま加入道山へ行かずに下山するよりも1時間ほど余計に時間がかかります。加入道山に行くか迷いながら昼食を食べてたら、雨が降り出し、雷が鳴りました。加入道山に行かずに下山する事にします。
犬越路へ下山していきます。途中で変わったものを見つけました。ホコリタケのようなキノコなのか、木のコブなのか...
シロヤシオ、既にちりぬるを。新緑やゴヨウツツジ(シロヤシオ)が夢の跡。
下山は、9割下りのため進みが早いです。スピードを出し過ぎて足を痛めないように気を付けます。
犬越路まで戻ってくると、サイレンが間近で聞こえます。ずっと鳴り続けていますが、実はこの時、檜洞丸の方で登山客が滑落していました。帰りのバスで一緒になった人に聞くと、命に別状はなく会話もできたようです。檜洞丸で訓練を終え、下山していた松田警察署の職員が救助しに檜洞丸へ再び登ったみたいな内容でした。
休憩した後は、用木沢出合へ降りていきます。17:05のバスに間に合うように歩き、無事に下山して、バスに乗って帰宅しました。檜洞丸のピストン登山だともっと早い帰りのバスに乗れるためか、丹沢ビジターセンターからのバスは自分含めて2グループのみでした。
タンザワウマノスズクサ
最後に、今回はタンザワウマノスズクサにも出会いました。
名前の由来は丹沢山地で発見されたからだと言われていますが、丹沢以外にも生息しています。オオバウマノスズクサと混同されていたようですが、違いは葉のの毛が開出毛ならタンザワウマノスズクサで、伏毛ならオオバウマノスズクサとの事です。
日程表