ルート
朝の4時過ぎには目が覚め、今日下山しようか迷いながら寒さでシェラフから出られないでいると、気が付くと外は明るくなってきました。
とりあえず菓子パンを頬張って外へ出ると晴天です。気持ちが一気に登山継続に傾きました。明日雨でも明日は下山するだけだし、この天気なら甲武信ヶ岳での景色も良いはず。雨でテントが泥まみれになってでも、登山を続けたいと思いました。
テントをしまい、大弛小屋の横にある水場で給水し、出発の準備が出来たら、前国師ヶ岳へ目指します。今日のゴールは甲武信ヶ岳です。
大弛峠から約1時間程で前国師ヶ岳・北奥千丈岳・国師ヶ岳の3つの頂に立つ事が出来ます。展望も良いため登山初心者に是非お勧めしたい山です。
登山道はとても整備されており、段差の低い木の階段が続いて行きます。登り始めて10分ちょっとで夢の庭園と呼ばれる場所があるのですが、そこは展望台になっており、登山者でない観光客でも絶景を楽しめます。
こちらが夢の庭園です。片側の斜面は景色を遮る木々がありません。木の階段はしっかりした作りで、団体ツアーの観光先にしたら人気が出る事間違いないです。
庭園からの展望です。手前には昨日登った金峰山が見えます。昨日は雲海の景色だったので、今日は雲海はなく麓まで見下ろせて新鮮な感覚です。
金峰山の山頂が良く見えました。今日なら、山頂から瑞牆山を見下ろせそうですね。景色を堪能したら、夢の庭園から更に登っていきます。出だしの登りは簡単に息が上がりやすいです。
標高2,570mの前国師ヶ岳にあっという間に到着しました。大弛峠から35分で着きます。標高2,500mを超え、かつ展望が良い山に簡単に行ける場所は貴重です。
展望は北奥千丈岳の方が良く、富士山を見るなら国師ヶ岳なので、ここでは休憩なしでも良いと思います。
北奥千丈岳と国師ヶ岳の分岐点です。甲武信ヶ岳は国師ヶ岳の方にあるため、先に北奥千丈岳へ向かいます。
少し歩けば北奥千丈岳へ到着です。標高2,601mあり、奥秩父最高峰になっています。しかし国師ヶ岳の一角とも見られることから、知名度は決して高くないようです。私は今回の瑞牆山から甲武信ヶ岳への縦走計画を立てる以前は、国師ヶ岳さえも知りませんでした。
おわかりいただけただろうか... 写真に写った人物の足が短い事を... 結局4日間何も着替えずに過ごしてしまう事を...
展望は夢の庭園と似ていたりしますが、庭園より標高が高いためより素晴らしい景色です。
一番奥に連なっている山は南アルプスで、その連なりの中で一番右に突き出している山が北岳です。日本で2番目に高い山で標高3,193mあります。
八ヶ岳連峰も見えています。
山肌に岩が見えていると、一面木々よりも見ごたえがあります。
さっき通った分岐点まで戻り、国師ヶ岳へ向かいました。標高2,592mの国師ヶ岳からは富士山がド迫力で立っているのが見えます。
標高がより高い北奥千丈岳よりも、こっちの方が有名なのは、国師ヶ岳が日本三百名山であり山梨百名山になっているからです。(下山してから知りました。)
次は甲武信ヶ岳へ向かいます。樹林帯の中をどんどん標高を下げていきます。国師のタルと呼ばれる所まで、あとどれ位下れば済むのかって思う程、下り坂です。つまり下った分登らないといけないので、うんざりな予感。下りはラクラク小走りで通過していきました。
このルートは人気がないのかもしれません。踏み跡がなく、誰ともすれ違う事がなく、倒木で登山道が塞がれ、道が直感的に分かりにくいです。
苔のガードレールで登山道が誘導されていると分かりやすくて良いですね。苔が生き生きしてとても綺麗です。
木々の隙間から甲武信ヶ岳とその右に木賊山が見えました。登った後だから分かりますが、この時はどれがどの山だかさっぱり。
倒木で登山道が隠れて、道が分からなくなっています。登山道から3回ほど外れてしまう結果になりましたが、道がないためすぐに気が付き、引き返してルートを探します。
そんな時はたいてい倒木の先に登山道がありました。
苔とキノコの組み合わせは最強です。昨日湿度が高かったために苔は綺麗な色をしており、そこに陽が当たって輝いています。
リュックが大きいので倒木の下をくぐれず、またぐしかありません。残念な事に短足なので一苦労でした。これが日本百名山である甲武信ヶ岳へのルートかと疑います。メインの登山ルートではなく、マイナーな縦走ルートなので仕方がなさそうですね。
誰とも会わないのに、鳥の鳴き声がたまに男性の声に聞こえて怖い。
はい、倒木のオンパレードなのは十分理解いたしました。┐(´~`)┌ ヤレヤレ
国師のタルを過ぎると登りと下りを繰り返します。登りがやっぱり大変です。しかし昨日よりもリュックがきつくないのは、体が山に適応したのか背負っている食料が減ったからなのか分かりません。
登りだとリュックが重く、うつむきがちですが、意識して顔を上げてピンク色の登山テープを常に視界に入れるように心がけました。倒木でルートが分かりにくいし、ルートが不明になっても誰とも出会わず人に聞けないので登山テープは大切です。
両門ノ頭に到着しました。所々視界が開けてくれるルートなのは精神的にありがたいです。甲武信ヶ岳と木賊山の山肌が部分的にハゲているのが良く分かります。
国師ヶ岳がある方角も景色があります。
小さく金峰山の頭がのぞかせていました。結構歩いたのが実感できます。
登って登って登って、登る~♪お水は毎日1.9L用意しています。今日のコースタイムは甲武信小屋までで6時間15分です。
登山道が狭いだけでなく、葉っぱで覆われて歩くたびに腕や顔に葉っぱのビンタが飛んできます。
永遠と思わせるような登りが視界の奥まで続いてます。実際は、視界の奥の更にその奥まで登りが続いてました。国師ヶ岳からこれでもかっていう位、標高を下げた結果ですね。
視界が開けた場所で富士山が見えます。なんか男性の声が聞こえるのですが、誰とも出会っていないし、けれど鳥の声とも今回は違うし。
(;゚д゚)アッ… 遂に幻聴?背後に誰かいるんじゃないかとか、変なものが視界に映ったようなとか、陽が当たった樹林帯でも実はずっと怖かったです。その延長線かも...
千曲川源流との分岐点まで来た時、ようやく登山者と出会いました。甲武信ヶ岳から源流の方へ向かうようです。水源地標があり、そこが日本一の大河川信濃川の源流点(水源地)になっています。寄って行きたい気持ちがあるけれど、いいや。
さっき聞いた男性の声は、ここら辺にいた人の声かもしれません。ここから距離があったけれど、きっとそうだよね!ねっ!!!
ようやく甲武信ヶ岳の山頂が目の前に見えてきました。あともうひと頑張り。
最後の最後は急登です。
山頂目下からの景色です。樹林帯を抜けて視界が広がります。残念な事に富士山も見えるのですが、ガスっており、今見える景色も徐々にガスってどんどん覆われてしまいました。
標高2,475mの甲武信ヶ岳に到着です。これで今回の登山で日本百名山3つを縦走した事になります。展望は、ガスがなかったとしても甲武信ヶ岳よりも北奥千丈岳の方が良いと思います。北奥千丈岳は360度見渡せるのに対し、甲武信ヶ岳からは木が邪魔して朝日が見れません。
ガスが増えてきたので甲武信小屋へ向かいたいと思います。登りはないので楽ちんです。甲武信小屋から山頂まではコースタイム20分で標高差100mの登りがあるので、山頂に再度行く事はないと思います。朝日も見えませんし。小屋から朝日は見えます。
甲武信小屋に到着です。テント泊や宿泊の受付は午後2時からという事で、先にテントを張ります。
テントの数は少なく、良い場所に張れました。平坦で、地面に石ころが少なく、隣にテーブルがあります。
ジュースを飲もうと小屋に入ると、コーラとポカリが売ってました。他の人のブログでは500mlのペットボトルでしたが、売っているのは細長くて小さい缶ジュースでした。小屋で買ったものは全て持ち帰りで空き缶も対象です。
ペットボトルなら水を入れたり使い道あるけれど、空き缶は使い道ないし、細長いので綺麗に潰せなさそう。購入は諦めました。一般的に流通している缶ビールと同じ350mlのアルミ缶なら簡単にペタンコに潰せるのに、残念です。缶ビールは350mlのアルミ缶で売っています。
昼食はたらこスパゲティーです。麺の量が多かったため、ソースが足りず薄味になってしまいました。ゆで汁を捨てられないので、少ない水で麺を茹でたらぬめりが麺にへばりついてしまい、不味かったです。鍋の底も焦げてしまうはめにもなりました。
後半はコーンクリームスープの素を入れて食べました。スープスパゲティーにしていたら焦げないし、ぬめりも緩和されていたかもしれません。
もし今度スパゲティーを持っていくなら、松茸のお吸い物の素でスープスパゲティーにします。
午後はガスったままでした。夕飯はチキンライスです。隣にツェルトを張った人とテーブルを相席して夕食を食べました。隣人の話では明日の天気は雨から曇りに変わったと言ってました。
陽が沈んだ頃、ガスが薄くなったり、消えたりしました。月がガスのベールをまとって幻想的です。