サンボー・プレイ・クック
サンボー・プレイ・クックとは、イサナヴァルマン1世によって7世紀前半に創建されたとされるチェンラ王国(6世紀に建国)の都市で、2017年にカンボジアで3番目の世界遺産になった遺跡群です。613年にイサナヴァルマン1世は新しい国の最初の首都を現在のサンボー・プレイ・クックにあたるイシャナプラにしており、この都市の創設者と考えられています。
トンレサップ湖の東岸、スターンセン川に近くに位置し、西側の都市区と東側の寺院区に分けられます。
寺院区の中心部は3つの主要なグループに分かれています。その内の南部(グループS)と北部(グループN)の建物グループは7世紀にイサナヴァルマン1世の時代によって建造されています。中央部(グループC)の建物群はその後の建造とされています。寺院はどれも煉瓦造りです。
中国唐代の僧である玄奘が646年の大唐西域記にサンボー・プレイ・クックがある場所を伊賞那補羅国(イシャナプラ国)と言及しており、当時において国外でも知られる存在でした。

基本情報

別称
Sambor Prei Kuk
住所
コンポントム, カンボジア
アクセス
シェムリアップから車で3時間。
営業時間
5:00~17:00
料金
入場料:10ドル(変更の可能性あり)
観光
11月上旬~5月中旬の乾季
観光時間
2時間
その他
個人では行きにくいためツアー利用が便利です。

寺院区の北部(グループN)

NグループにあるN18
プラサット・チュレイ(N18)
N18は樹齢200年を超えた樹木が絡みついている遺跡です。かつてはこのような建物が多くあったと思われますが、現在は樹木が絡みついている建物はあまりありません。中には入れません。
N13
建物が雑草に浸食されています。
N7の建物
N7の空飛ぶ宮殿のレリーフ
N7の建物の中
空飛ぶ宮殿の上部
空飛ぶ宮殿の下部
N1の建物(祠堂)
N1のレリーフ
N1は北部(グループN)の中心にある寺院で、プラサット・サンボ―と呼ばれます。建物の壁にはレリーフが描かれており、レリーフの一番下の7体はグリフォンです。上半身が鷲で下半身がライオンの生物です。
N1の建物の中
N1の中には女性器の象徴であるヨニがあります。当時は、その上に男性器の象徴であるリンガもあったと思われます。
これらはヒンドゥー教の寺院遺跡ではよく見られます。ヨニの出っ張りである溝は北の方角をさしています。
儀式の時にリンガに聖水が注がれヨニの溝へ流していきます。シヴァ神の象徴になっています。
世界遺産になる前に実施されたN1祠堂の発掘調査において、土器やクメール陶器、中国陶磁器が出土しており、特に土器の割合が多くありました。
N10の建物
N10内にあるハリハラの彫像のレプリカ
ハリハラはシヴァ神とヴィシュヌ神の合体神であり、創造と破壊を象徴しています。
N9の建物
N9内にあるドゥルガーの彫像のレプリカ
ドゥルガーはシヴァ神の妻です。ハリハラもドゥルガーも本物はプノンペンの国立博物館にあります。

寺院区の中央部(グループC)

C1の建物
C1の建物の中
C1は中央部(グループC)の中心にある寺院で、プラサート・タオと呼ばれます。
ライオン像
セクシーヒップでお出迎え。
入口
プラサート・タオの入口には2頭のライオン像があり、鬣が印象的です。

寺院区の南部(グループS)

S1の建物
S1の建物の中
S1の偽扉
S1は南部(グループS)の中心にある寺院で、プラサート・イエイ・ポアンと呼ばれます。
南部にある八角形の祠堂
八角形の祠堂はアンコール遺跡にはありません。
ヨニ
ヨニの中

修復中の遺跡