カントウカンアオイとは、葉が葵に似ていることが名前の由来となっており、一般的にカンアオイと呼ばれています。カンアオイは様々な種類があり、曖昧さを避けるために名前の頭にカントウと付けて呼ぶこともあり、名前の通り関東地方に自生しています。日本固有種です。
萼裂片が花弁状になており、筒状の花には花弁がありません。筒状の上部には括れはなく、開口部にはっきりとした口環が存在します。萼筒内壁には縦横に隆起した襞が無数にあり、格子状になっています。縦の隆起線は8~11本、横の隆起線は4~5本と簡素です。雄しべは12本、雌しべは6本あります。秋に開花しますが、翌年の春まで花が残ります。
変種としてナンカイアオイが存在し、蕾の時に萼裂片の基部に明瞭な凹みがあることが違いとされており、分布域が異なっています。
和名:漢字
関東寒葵
学名
Asarum nipponicum
分類:目
コショウ目 Piperales
分類:科
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
分類:属
カンアオイ属 Asarum
分類:種
カントウカンアオイ A. nipponicum
花期
10~5月
分布
関東地方
分布地
丹沢, 高尾山
その他
蕾の萼裂片の基部に凹みはない。
花の色や葉の模様は様々です。葉は無地や亀甲模様、藤模様、斑入り、銀葉などがあります。葉柄は紫色ですが、青軸だったり花が素心の個体も存在します。
緑色を帯びた花
1月の花
黒色を帯びた花
葉が黒くなるものはカラス葉と呼ばれています。実生個体は開花まで6年以上かかります。種子には蟻の好物である種枕(エライオソーム)が付いており、蟻は種子散布の担い手になっています。それ故に、生息域の拡大は長い年月がかかります。
横の隆起線が4本
横の隆起線が5本
カンアオイは古典園芸植物として、江戸時代から親しまれてきた植物です。多くの園芸品種が生み出されています。人によって採種され本来自生していない場所で帰化することがあります。
4月2日(高尾山)
カンアオイはギフチョウの幼虫の食草であり、葉の裏に産み付けられたギフチョウの卵が孵化すると、葉が食べられます。
丹沢(2月10日)
丹沢(2月4日)
丹沢(3月5日)