ジンジソウとは、花の形が漢字の人の字に似ていることが名前の由来になっている多年草です。湿度の高い山地の岩壁に生えていたり、苔むした木に着生しています。花は白い花弁が5枚あり、上部の3枚はスペードの形をしており、黄色の斑点と基部に爪があります。下部の2枚は長楕円形で、垂れ下がります。雄しべは10個で放射状に伸び、葯は橙黄色です。
草丈は10~35cm程になり、花茎の下部には白い長毛が目立ちます。根茎は短く、その頂きに根生葉が束生します。葉は腎円形で縁は7~11に中裂しやや掌状になり、不規則な鋸歯があり、まばらに毛が生えて有柄です。
日本固有種です。変種のツルジンジソウや品種のマルバジンジソウ、ムラサキジンジソウ、フギレジンジソウ、フイリジンジソウが存在します。
和名:漢字
人字草
学名
Saxifraga cortusifolia Siebold et Zucc.
分類:目
ユキノシタ目 Saxifragales
分類:科
ユキノシタ科 Saxifragaceae
分類:属
ユキノシタ属 Saxifraga
分類:種
ジンジソウ S. cortusifolia
花期
9~11月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
東京:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
東京:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IB類(EN)
分布
関東~九州
分布地
安居渓谷
その他
木に着生した姿
神奈川県
ダイモンジソウと比べると産地が限られ、個体数も多くありません。神奈川県では絶滅危惧種になっており、自生している姿を見ることは基本的に難しいです。
下部2枚の花弁は一部分、または大部分が重なりやすい傾向があります。茎は空へ垂直に伸びず、斜め上へ伸びます。茎は上部で多く分枝し、その先に花を付けます。
同じ時期に咲いているダイモンジソウに似ていますが、ダイモンジソウは上部3枚の花弁が長く、下部2枚の花弁が重ならずに大きく離れているため、見分け方は簡単です。ユキノシタやハルユキノシタとも花が似ていますが、下部2枚の花弁の幅が広く、ジンジソウのスタイリッシュな見た目とは異なります。
葉肉中には、ダイモンジソウと同様にシュウ酸塩結晶があります。