スルガジョウロウホトトギスとは、駿河に産地があることが名前の由来になっている多年草で、サガミジョウロウホトトギスの変種です。湿った岩場や崖に生えており、鐘状の黄色い花を茎頂や上部に1~5個付ける散房花序です。
草丈は50cm程になり、卵状披針形の葉は艶があり互生します。また葉の基部には耳片があり、茎を抱きます。花は内花被片と外花被片が3枚ずつあり、内側には赤褐色の斑点があります。外花被片の基部には長さ2mm程の距があり、先端には棘状の突起があります。下垂して半開し、葯は褐色です。
生息地は静岡県の駿河(スルガ)だけでなく、山梨県の南部町など他の場所でも発見されています。
和名:漢字
駿河上臈杜鵑草
学名
Tricyrtis ishiiana var. surugensis
分類:目
ユリ目 Liliales
分類:科
ユリ科 Liliaceae
分類:属
ホトトギス属 Tricyrtis
分類:種
スルガジョウロウホトトギス T. ishiiana var. surugensis
花期
9月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
静岡県:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
静岡県:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
駿河, 甲斐
分布地
毛無山
その他
茎頂に花が2つある個体
9月
サガミジョウロウホトトギスとの違いは、スルガジョウロウホトトギスの方が草丈が短く、花がより小型で距も短い、葯はスルガは褐色だがサガミは黄色であるとされています。ただし個体差もあり、明確な識別は曖昧になっています。
サガミジョウロウホトトギスとスルガジョウロウホトトギスの両方を自生地で見た限りでは、スルガジョウロウホトトギスの花は小さく、花数が少ない傾向があり、葉の幅が少し狭いせいか細長い印象でした。多くの個体が茎頂に付く花は1つであり、僅かに花を2つ付ける個体がいました。3つは稀のように思います。
花の内部
斑点は個体ごとに異なります。
花の中央にある透明な粒状のものは腺毛状突起です。スルガジョウロウホトトギスは花柱の下部まで存在し、サガミジョウロウホトトギスは下部にはないと言われています。
崖から下へぶら下がるように生えています。花は葉よりも内側(崖側)で咲きます。距からは蜜が分泌され、ポリネーターをおびき寄せます。ポリネーターはマルハナバチが知られています。
崖にへばり付かずに宙に浮かんだ状態で、茎がしなります。日本固有種です。
花と蕾
葉は艶があり、葉脈が目立ちます。