アオキランとは、発見者である青木信光の名前が和名の由来になっている菌従属栄養植物です。淡褐色の花には全体的に紅紫色の斑紋があります。草丈は7~25cmあり、総状花序で1本の茎に花が3~9個付け、下から上に向かって順に開花します。
花には距があり、先端が2裂してかつ僅かに前方へ曲がります。唇弁は白地に斑紋があり、広卵形をしており全縁です。平面ではなく、内側に巻き込んでスプーン状です。萼片は狭卵形をしており、萼片と側花弁はそれぞれ長さ1cm程あります。背萼片の下には蕊柱の葯があり、丸い形をしています。茎は直立して、肉質で水分を多く含んでいます。葉は鱗片状で2~5個つきます。
亜高山帯や冷温帯の落葉広葉樹林の湿性な林床に生育します。日本に存在するトラキチラン属の植物はタシロランとトラキチランを含めた3種類で、どれも人の名前が付けられています。
福島県:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
菌従属栄養植物(腐生植物)であり、光合成をするための葉緑素がありません。土の中にいる菌類に寄生して栄養を奪っています。そのため自生地から他の場所へ移植することは出来ません。
咲き終えると全草が茶色くなります。果実は蒴果で、開花後30日頃に形成され、更に30日かけてに種子が完熟します。
左から2番目の個体では、花が9個付いています。個体は枝分かれせず、茎は1本のみです。花茎の先端には必ず花が付きます。
総状花序であり、花それぞれの向きは個体ごとに大体揃います。左右360度あらゆる方向に花が付くわけではありません。斜面だと、下りの方向に花が付く傾向があり、群生すると向きが大体揃います。
花にある紅紫色の斑紋は、個体だけでなく同一個体の花ごとに差が大きく、模様が異なります。また花柄子房には斑紋だけでなく紅紫色の線が数本あります。
地下には深さ2~5cm程の場所に卵形の球茎があります。球茎の長さは1~2cmで、表面に極めて短い突起状の根があります。また花柄子房が下に向き、花がうつ向きがちです。
蕾の時は、花と花の間隔は詰まっており、下向きにうなだれた姿です。