オオバノトンボソウ

オオバノトンボソウとは、トンボソウに似ていますが、葉がより大きいことが名前の由来になっている山野草です。山地や丘陵地に生育しておりノヤマトンボ(野山蜻蛉)とも呼びます。草丈は30~60cmあり、総状花序で様々な方向に黄緑色の花を10~25個つけます。茎には翼状に発達した稜があり、葉は長楕円形をしており下部の1~3枚が大きくなります。

花は舌状広線形の唇弁は後方へ反り返り、距は下を向きます。広卵形の背萼片と半切卵形の側花弁は、かぶと状に重なります。狭長楕円形の側萼片は後方に反り返ります。花柄子房は180°捻じれます。苞は披針形をしています。

ラン科ツレサギソウ属の植物は多く存在し、どれも似ています。オオバノトンボソウは里山など身近に多く自生する種で、葉は大きく光沢があり革質で幅広なのが特徴であるため、葉だけで見分けることができます。

基本情報

和名:漢字
大葉の蜻蛉草
学名
Platanthera minor (Miq.) Rchb.f.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ツレサギソウ属 Platanthera
分類:種
オオバノトンボソウ P. minor
花期
6~7月
分布
北海道, 本州, 四国, 九州
分布地
箱根, 丹沢
その他

詳細情報

オオバノトンボソウ
花茎の上部
オオバノトンボソウ
全体像(7月21日)

虫や鹿による食害が多い植物で開花せずに枯れたり、茎が千切れていることもあります。ランミモグリバエによる被害では、花芽に産卵され、孵化した幼虫によって蕾や花が食べられてしまいます。

オオバノトンボソウの花
オオバノトンボソウの花
オオバノトンボソウの花
丹沢(7月24日)

花はトンボが飛ぶ姿に見えます。唇弁の長さは6~8mm、距の長さは12~15mmあります。花粉塊は淡黄色です。

オオバノトンボソウ
オオバノトンボソウ

根は紡錘状になり肥厚します。冬には地上部が枯れ休眠します。

オオバノトンボソウ
丹沢(5月6日)
オオバノトンボソウ
愛鷹連峰(6月12日)

葉は互生し基部は茎を抱きます。主脈は谷折りになり、その周辺は色が濃くなります。上部にある茎葉は裏面の主脈が稜の翼に繋がっています。最下部の葉はコバノトンボソウやヤマサギソウ、キソチドリ、マイサギソウ、オオヤマサギソウよりも幅が広く2.5~3.5cm程で、長さは7~12cmになります。