ミクニサイシン

ミクニサイシンとは、従来ウスバサイシンとされていたものが細分化された独立種で、関東北部に分布している多年草です。花に花弁はなく、3つの萼裂片が萼筒についています。萼裂片は三角状卵形をしており、先端が前面へ僅かに折れ曲がり、更に指でつまんだかのように縦にも折れ曲がります。類似植物のトウゴクサイシンと比べて、折れ曲がりの程度が僅かなのが同定のポイントになります。萼裂片の面はあまり波打たずに平面です。

萼筒の開口部には帽子のつばのような口環は存在しません。開口部はくびれて、その長さは萼筒外径の半分未満になります。花の直径は1~1.5cm程あり、花色は暗紫色や緑色です。葉は卵心形で、基部は心形、先端は尖り、厚さは薄いです。葉の長さは5~12cm、幅は4~10cmあり、葉柄は長さ7~16cmです。秋になると落葉します。

山地の落葉広葉樹林などの林床に生育し、日本固有種です。

基本情報

和名:漢字
三国細辛
学名
Asarum mikuniense
分類:目
コショウ目 Piperales
分類:科
ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
分類:属
カンアオイ属 Asarum
分類:種
ミクニサイシン A. mikuniense
花期
4~5月
分布
関東北部
分布地
谷川岳
その他

詳細情報

ミクニサイシンの葉
葉は2枚
ミクニサイシンの花
花の正面
ミクニサイシンの花
花の側面

葉柄は花に近い基部は暗紫色で、葉に近い先は緑色をしています。葉柄は上に向かって伸び、花は地面近くで咲きます。花は落ち葉で埋もれていたり、葉で隠れて目立ちません。

ミクニサイシン
ミクニサイシン
緑色と紫色をした2色の花

2007年にウスバサイシン節が細分化されて、ミクニサイシン、トウゴクサイシン、イズモサイシンが新種として発表されています。それにより日本にはウスバサイシンを含め、ウスバサイシン、クロフネサイシン、アソサイシン、オクエゾサイシンが存在します。

ミクニサイシン
緑色の花
ミクニサイシン
黄緑色の花
ミクニサイシンの萼筒内壁
萼筒内壁

萼筒内壁には縦に隆起した襞がありますが、他のカンアオイのように横には隆起線が存在しません。雄しべは12個、花柱は6個あります。

ミクニサイシン
ミクニサイシン