ハルザキヤツシロラン

ハルザキヤツシロランとは、萼片と側花弁が合着して細長い筒状になった花を咲かせる腐生植物です。春に咲くヤツシロランであることが名前の由来で、開花時期の草丈は3~5cmです。その後は花は黒なって溶け、種子を遠くへ散布するために草丈30cm以上に伸ばす姿は他のヤツシロランとそっくりです。開花1ヶ月後には種子を飛ばし始めます。

こげ茶色の花には白っぽい斑点模様があり、内側にある側花弁は朱色をしています。先端が朱色である唇弁には隆起線があり、その奥には緑色の球状突起があります。花には匂いがあり、唇弁を上下に動かしながら受粉を手伝ってもらうためにハエなどの虫をおびき寄せます。

光合成をしないため葉緑素は存在せず、土中の菌類に寄生して栄養を奪っており、地下部には塊茎があります。葉は退化して鞘状の黒い鱗片葉になっています。常緑樹林の林床に開花する時期だけ姿を見せます。

基本情報

和名:漢字
春咲八代蘭
学名
Gastrodia nipponica (Honda) Tuyama
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
オニノヤガラ属 Gastrodia
分類:種
ハルザキヤツシロラン G. nipponica
花期
4~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
東京都:絶滅危惧IB類(EN)
静岡県:絶滅危惧II類(VU)
分布
東海~沖縄
分布地
三原山
その他

詳細情報

ハルザキヤツシロラン
緑色の球状突起が見える花の内部
ハルザキヤツシロラン
筒状の花は平開しません。
ハルザキヤツシロラン
花の見頃は1週間程で、花は地面の色に溶け込んでしまい、草丈も低いため見つけるのが困難な植物です。
ハルザキヤツシロランの花とポリネーター
ポリネーターのハエと花
ハルザキヤツシロラン
花の向きに法則はありません。
左は蕾、右は開花
花は細長く2cm程
黒く溶けはじめた花
ハルザキヤツシロランの花とポリネーター
5月上旬
ハルザキヤツシロラン
1つの花茎に花は1~3個