カゲロウランとは、以前は別種とされていたオオスミキヌランと同種である多年草です。草丈は10~25cmあり、卵状楕円形で光沢がある葉を3~5枚付け、花茎からヤクシマアカシュスランに似た花を2~15個咲かせます。真横に開く側萼片は長さ5mmあり、緑色で披針形をしています。桃色の背萼片の下には白い側花弁と先端がV字になった袋状の唇弁があります。
暖温帯や亜熱帯にある常緑林の林床に生え、地表近くを這う緑色の根茎の節々から根を出します。儚げな花の姿を昆虫の蜉蝣(蜻蛉)に見立てたことが名前の由来になっています。
和名:漢字
蜉蝣蘭
学名
Hetaeria agyokuana (Fukuy.) Nackej.
Zeuxine agyokuana Fukuy.
Zeuxine agyokuana Fukuy.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
ヒメノヤガラ属 Hetaeria
キヌラン属 Zeuxine
キヌラン属 Zeuxine
分類:種
カゲロウラン H. agyokuana
カゲロウラン Z. agyokuana
カゲロウラン Z. agyokuana
花期
9~11月
赤リスト
環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
静岡県:絶滅危惧II類(VU)
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
静岡県:絶滅危惧II類(VU)
分布
関東南部, 四国, 九州, 沖縄
分布地
高尾山, 房総半島, 三浦半島, 伊豆七島, 屋久島
その他
10月9日(三浦半島)
9月12日(伊豆七島)
光沢のある葉の縁は波打つ個体と、ほぼ波打たない個体がいます。葉柄は短く、その基部は鞘となって茎を抱きます。
花茎には無数の毛が下向きに付いています。花は下向きに咲くヤクシマアカシュスランとは異なり、横向きに咲きます。花は下に位置するものから上に向かって順番に開花します。どの花も同じ方向を向いています。側萼片は内側にやや巻きます。唇弁内部にはかぎ状の硬い突起があります。
9月10日(三浦半島)
波打たない葉
長楕円形の蒴果
温暖な地域に多く自生するラン科植物で、四国が北限とされていましたが、関東地方の半島や島でも見つかっています。温暖化により分布が北上していると言われています。
カゲロウランにとてもよく似ていますが、花の形が異なります。特にカゲロウランの側萼片は披針形で、飛行機の翼のように細長い三角形ですが、ヤクシマアカシュスランの側萼片は楕円形で、幅広で丸みを帯びています。