ヒナノキンチャク

ヒナノキンチャクとは、丸い淡紫色の花を無数に咲かせる小さい一年生植物です。黄緑色の果実が巾着に似ていることが名前の由来になっており、全国的に自生地が限られており絶滅危惧種に指定されています。草丈は7~15cmあります。

山地帯の草地やガレ場、石灰岩地で生育しています。福島県のあぶくま洞は日本で最大の群生地になっており、数千個体が生育しています。海外ではオーストラリアやアジアの暖帯から熱帯の地域に分布しています。

花は竜骨弁と呼ばれる丸くて黄色い花弁があり、その上に先端が濃い紫色をした2枚の淡紫色の花弁が乗っかっています。竜骨弁の下には左右に広がった2枚の淡紫色の萼片があります。他に、3枚の小さな萼片が上下にあります。総状花序で下から上に順に開花します。時間が経過した竜骨弁は黄色からオレンジ色に次第に変色します。白花を咲かせるシロバナヒナノキンチャクも存在します。

基本情報

和名:漢字
雛の巾着
学名
Polygala tatarinowii
分類:目
マメ目 Fabales
分類:科
ヒメハギ科 Polygalaceae
分類:属
ヒメハギ属 Polygala
分類:種
ヒナノキンチャク P. tatarinowii
花期
7~10月
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧IB類(EN)
東京都:絶滅(EX)
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
山梨県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
本州, 四国, 九州
分布地
あぶくま洞, 秦野, 奥多摩, 伊吹山
その他
東京都では絶滅とあるが、西多摩地区に自生している。

詳細情報

ヒナノキンチャク

長さ1~3cmの葉の縁には毛が生えています。淡紫色の花より下に付いている扁円形で黄緑色の果実は長さが約3mmあります。巾着に似ています。楕円形をした黒い種子は極小で、表面に微毛があります。

花の構造
8月20日

石灰岩地のような栄養が乏しい土壌でも育つことが可能で、競合相手が少ない場所では群生することがあります。草地の開発や遷移の進行によって個体数が減ることもあります。全国的に自生地の数は20ヶ所程と言われており、限られた場所に分布しています。

ヒナノキンチャク
ヒナノキンチャク
小さい姿で開花
ヒナノキンチャク
7月16日

大きくなってから開花するのではなく、土から顔を出したばかりの小さい姿でも蕾を付けて開花します。

白花のヒナノキンチャク
白花のヒナノキンチャク
シロバナヒナノキンチャク

白い花を咲かせるシロバナヒナノキンチャクは個体数が少ないです。花粉媒介昆虫に対し淡紫色の花よりも目立つため、繁殖に有利なため白花になったという説があります。