カヤラン

カヤランとは、春に葉腋から地面の方に向かって花茎を伸ばし、淡黄色の花を複数咲かせるラン科の着生植物です。披針形の葉がカヤの木の葉に似ていることが名前の由来になっている、日本固有種です。成長がとても遅く、1年に新しい葉を1~4枚付けます。葉は互生します。

唇弁に赤い縞模様があるのが特徴です。花や葉に紅色の斑点が存在するベニカヤランと呼ばれる種がいます。長さ3cm程の果実は約1年間くっ付いたままで、翌年の花が咲く頃に縦に裂けて種子を放出します。

樹幹に着生して生きていますが、雨風によって着生していた杉の枝が折れて、カヤランごと枝が地面に落ちてしまうことがあります。空中湿度の高い場所を好みます。環境適応性が乏しいため、山間部以外での栽培は難しいと言われています。

基本情報

和名:漢字
榧蘭
学名
Thrixspermum japonicum (Miq.) Rchb.f.
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
カヤラン属 Thrixspermum
分類:種
カヤラン T. japonicum
花期
3~5月
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
神奈川県:絶滅危惧II類(VU)
分布
本州(宮城県以南), 四国, 九州
分布地
高尾山, 丹沢
その他

詳細情報

カヤラン
蕾を形成中(3月20日)
カヤランの蕾
蕾(4月2日)

着生植物としては一番身近な種です。樹木の高い位置に生息していることが多く、見上げないと発見できないことが多いです。肉眼では花が咲いていないと認識が難しいです。

カヤランの花

茎から細長い気根を出して、気根の先端が伸びる時、先端が幹に這わせてくっ付きます。既にある気根は新たにくっ付くことはありません。気根は空気中の水蒸気から水分を得ています。

開花直後のカヤラン
開花直後のカヤラン
カヤラン
カヤラン
丹沢(4月30日)
カヤラン
カヤラン
大量に咲くカヤラン
スギの枝に着生するカヤラン

スギの枝に着生したカヤランが枝ごと地面に落ちている姿です。山の中では小枝に着生することも多く、台風や嵐によって枝ごと木から落ちてしまうこともあります。その場合、カヤランは泥まみれになり、枯れる運命になります。

カヤランの実

カヤランは夏には結実し、細長い実の中に細かい種子が無数に入っており、翌年に種子散布されます。