ハナネコノメとは、シロバナネコノメの変種の1つであり、赤い葯を先端に付けた8本の雄しべと白い花(萼片)が特徴的な多年草です。白花を咲かせるネコノメソウ属はこの種とシロバナネコノメのみであり、派手な見た目は似ていますが分布域と花粉の色が異なります。分布域は福島県から京都府あたりまでです。
個体による変異が多様で、一般的な葯は赤色ですが、オレンジ色や黄色も存在しています。白い萼片は赤みを帯びたり、緑色をしている個体もあります。花粉の色は黄色です。
湿った樹林下や渓流沿いなどに生えている日本固有種です。対生または互生している葉の縁にはにぶいノコギリ歯があり、扇形です。無数の白軟毛が茎や葉から生えています。
和名:漢字
花猫の目
学名
Chrysosplenium album var. stamineum
分類:目
ユキノシタ目 Saxifragales
分類:科
ユキノシタ科 Saxifragaceae
分類:属
ネコノメソウ属 Chrysosplenium
分類:種
ハナネコノメ C. album var. stamineum
花期
3~4月
分布
東北や関東, 中部
分布地
丹沢, 高尾山
その他
開花前の蕾(西丹沢, 3月16日)
赤い葯と黄色い花粉
シロバナネコノメは近畿から九州までと関西に分布しており、東北や関東、中部に分布するのはハナネコノメです。シロバナネコノメの花粉は白色であるのに対し、ハナネコノメは黄色です。
ハナネコノメは基本的に単独で存在することはなく、時に大群落を形成します。暗紫色の走出枝を出して増殖します。
開花始め
西丹沢(3月13日)
標高1,300m以上(4月18日)
花期は、陽が当たる時間が長さや標高の高さなどで異なります。雨によって葯が簡単に外れてしまうことはありません。
オレンジ色の葯
3月20日
オレンジ色の葯を持つハナネコノメは、同時に朱色の葯を持つことが多く、一色ではない個体が多い印象です。真っ赤な葯とオレンジ色の葯の両方を持つ個体は見かけません。
黄色の葯
黄色の葯は多数の場所で発見されています。
周囲にはオレンジ色の葯を1つでも持つ個体は存在しませんでした。
萼片の先端に赤い斑点が多い。
背丈は生育環境によって変わり、3cmしかない状態で花を咲かせている個体や10cm程ある個体もいます。
互生した葉と緑色を帯びた白い萼片
対生した葉と緑色を帯びた白い萼片