キヨスミウツボ

キヨスミウツボとは、主にアジサイ科の植物の根に寄生する植物です。地上部は長さ2~3cm程で筒状の白い花を咲かせます。芳香型の個体は昆虫によって受粉してもらい、無香型の個体は自家受粉をします。千葉県にある清澄山で発見されたことが名前の由来になっています。

6月になると、茶色や黄土色の鱗片葉に覆われて地上に顔をだします。肉質の花冠は次第に切れ込みが入り裂けます。1つの茎の先端に5~10個くらいの花が集まり、花の1つ1つが同心円状に外側へ広がります。花の見頃は約1週間程で、黄色を帯びてから茶色く変色します。

花の先端は上下2つに裂けます。花の中にある4本の雄しべが見えるようになります。果実は液果で卵形です。ネズミや昆虫などに食べられることで種子を運んでもらっています。

基本情報

和名:漢字
清澄靫
学名
Phacellanthus tubiflorus
分類:目
シソ目 Lamiales
分類:科
ハマウツボ科 Orobanchaceae
分類:属
キヨスミウツボ属 Phacellanthus
分類:種
キヨスミウツボ P. tubiflorus
花期
6月中旬
赤リスト
環境省カテゴリ:なし
東京都:絶滅危惧IA類(CR)
分布
全国
分布地
高尾山, 丹沢, 六甲高山植物園
その他

詳細情報

1個体は複数の花を持っています。
キヨスミウツボの花
1つの花
カシ類やエゾアジサイなどのアジサイ類、サクラ属、ムラサキシキブ、ヒメアオキ、ヤマハンノキなどの根に寄生します。高尾山ではタマアジサイに寄生していることで知られています。
鱗片葉に覆われています。6月5日
タマアジサイの根もと
高尾山に自生するキヨスミウツボ
6月20日(高尾山)
六甲高山植物園に自生するキヨスミウツボ
6月20日(六甲高山植物園)
梅雨の季節に開花します。
開花後に花が黄色くなることから、オウトウカ(黄筒花)と呼ばれています。中国語では「黄筒花」と呼ばれています。全国に分布していますが、生息地は限定的かつ稀です。森林伐採によって数を減らしています。
キヨスミウツボを含むハマウツボ科のほとんどの種は、葉が退化して光合成をしません。自分で栄養を作らない代わりに、他の植物に寄生する道を選びました。
丹沢で自生するキヨスミウツボ
丹沢で自生するキヨスミウツボ
富士山で自生するキヨスミウツボの群生
富士山で自生するキヨスミウツボの群生