オニノヤガラ
オニノヤガラとは、背丈が100cm程まで伸びる、大きな多年草の腐生植物です。ナラタケ菌糸に寄生して栄養を奪うことが知られています。人工栽培が難しい腐生植物の中で、オニノヤガラは中国で人工栽培されています。塊茎を蒸したものを「天麻」と呼び、漢方薬(生薬)として一般的に利用されています。
日本では、アイヌ民族の人々が「ウニンテプ」と呼び、アイヌのサツマイモとして根茎を食していた文化がありました。
全身が黄褐色を帯びていて、総状花序を持っています。花の構造は、外花被片が合着して壺状になっています。唇弁の縁は黄色いひだひだになっています。
人の子供の背丈程ある長い花茎の姿が、鬼が使う弓矢に見えたことが名前の由来になっています。ヒメノヤガラという似た名前の腐生植物がいますが、同じラン科でも属が異なり、ヒメノヤガラの背丈は10cm程と短く小さいです。

基本情報

和名:漢字
鬼の矢柄
学名
Gastrodia elata
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
オニノヤガラ属 Gastrodia
分類:種
オニノヤガラ G. elata
花期
6~7月
赤リスト
環境省カテゴリ:記載なし
神奈川県:記載なし
東京都:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
分布
北海道、本州、四国、九州
分布地
小宮公園, 日光植物園
その他
共生菌は、発芽時はクヌギタケ属の菌、成長期はナラタケ属の菌

詳細情報

中国語では、天麻と呼ばれています。共生菌であるナラタケの菌を培養接種したキノコ栽培用原木を土中に埋め、その隣にオニノヤガラの塊茎を植えると、ナラタケの菌が原木を分解しながら栄養を得て、その栄養をオニノヤガラがもらいます。中国では大量生産されています。
6月5日(小宮公園)
壺の形をした多数の花
オニノヤガラ
葉緑素も葉っぱもないため、光合成をしていません。共生菌との関係を築けないと生きていけないため、環境の変化に弱いのが腐生植物です。
唇弁の縁が白い個体
オニノヤガラ
全身が黄褐色を帯びず、花茎が茶色く、花は緑っぽい色を帯びる個体もいます。シロテンマとは異なります。
7月17日(尾瀬)
上手く成長できなかった個体
結実したオニノヤガラ
結実したオニノヤガラ
オニノヤガラの種子
種子を放出した後
似たような姿の同じオニノヤガラ属の植物に、シロテンマ、アオテンマ、ナヨテンマなどがあります。
ヒメノヤガラ
ラン科ヒメノヤガラ属に分類されています。花期は7~8月であり、オニノヤガラとは姿・花期・共生菌などが異なります。