花期に地上から顔を出す茎の高さは2cmほどで、果実になると種子を遠くまで散布できるように背丈が伸びる光合成をしない腐生植物です。
花の大きさは2cmほどで、常緑広葉樹や竹、杉などの林床に生えます。花期は、その小ささと落ち葉と同化する色や、落ち葉に埋もれる事などから自生地を知らずに探すのが難しい植物です。
基本情報
学名
Gastrodia pubilabiata Y.Sawa
分類:種
クロヤツシロラン G. pubilabiata Y.Sawa
分布地
生田緑地, 泉の森, 葦毛湿原, 桜ヶ丘公園, 大塚山公園, 長池公園
植物
中国語では「冬赤箭」と呼ばれています。
折れた竹と腐葉土の下に顔を出さずにいた個体です。白くて丸いものは葯(雄蕊先端にある花粉を入れる袋状)です。その下にある下唇の口ばしのような部分は、ラン科特有の唇弁です。
蕾から一日で満開になり、翌日には花は下向きになります。そして花の部分がタール状になって、子房の中に吸収されます。その際、タール状になった花にくっついたゴミ等の付着物も巻き込みます。腐って溶けるような見た目です。そして上を向きながら果実を形成します。

花の一部がタール状になっています。
腐生植物であるクロヤツシロランは、根系に菌根を形成しています。その菌糸は周囲にある特定の樹木の根から養分をもらって共生して生きています。腐生植物(菌従属栄養植物)は単体で生きる事は出来ず、このようにどこでも育つわけではないので、移植が極めて困難です。
腐生植物の中では、クロヤツシロランは実生から開花、種子形成までの栽培が比較的容易です。

果実(10月18日)

背丈は30cm以上伸びる個体もいます。

塊茎を持つランは根が少ないです。

自生地の竹林
似たような植物として、ヒスイクロヤツシロランやハルザキヤツシロラン、ベンガラヤツシロラン、アキザキヤツシロランやヒスイアキザキヤツシロランがあります。