ナギラン
ナギランとは、常緑広葉樹林の林床に生える多年草です。葉っぱがあり光合成をしていますが、菌類に栄養依存もしており部分的菌従属栄養植物になります。
白色の唇弁の内面には、紫色の斑紋があるのが特徴です。全長は20〜30cmで、葉っぱが常緑高木のナギ(梛)の葉と似ている事から、ナギランの名前になりました。
葉っぱがないマヤランとサガミランに姿や花の形がとても似ています。

基本情報

和名:漢字
梛蘭
学名
Cymbidium lancifolium
分類:目
キジカクシ目 Asparagales
分類:科
ラン科 Orchidaceae
分類:属
シュンラン属 Cymbidium
分類:種
ナギラン C. lancifolium
花期
6月下旬~7月中旬
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
神奈川県:絶滅危惧IA類(CR)
分布
関東地方以西
分布地
三浦半島, 薩摩半島, 伊豆諸島
その他

詳細情報

花の構造は、紫色の模様がある唇弁が一番目立ちます。2枚の狭長楕円形をした側花弁にも模様があり、あまり開きません。2cm以上長さのある背萼片1枚と側萼片2枚は白色で全開します。雄しべと雌しべが合着した蕊柱の下に2つの白い花粉塊があります。
7月2日
個体数は激減しており、2001年の調査では、神奈川県での個体数は総計50株未満になっています。2020年以降に真鶴半島での生息が確認されましたが、2001年よりも更に減少していると思われます。盗掘されれば県内で絶滅してしまうと思われます。
ナギランの蕾
6月22日に観察した蕾
神奈川県では比較的海岸に近い常緑広葉樹林の林床に生えています。あまり群生せずに、点在することが多いです。
ナギランの花
7月17日
年によって開花が半月ずれることも
披針形の葉は厚く、光沢があります。長さは25cm前後です。花は同じ方向に咲くことはなく、同じ花茎でも開花日は花ごとにずれます。
神津島のナギラン
9月12日(伊豆諸島)
ナギランの花
株の基部から伸びている薄黄緑色は新芽になります。他にも前年度以前に茎を伸ばしたバルブが基部にあります
ナギランの葉
九州
ナギランの根
バルブと根
ナギランの群生
群生

似ているラン科植物

マヤランの花
マヤラン
似たような場所に生育し、葉の有無以外は似たような姿をしている植物として、腐生植物のマヤランとサガミランがあります。ナギランとは別種で全体が大きく、秋に花を咲かせるアキザキナギランも存在します。
サガミランの花
サガミラン