サガミジョウロウホトトギスとは、岩場に生える多年草で、神奈川県にある丹沢山塊の一部のみに生息している絶滅危惧種です。岩場から垂れ下がるように鐘状の黄色い花を咲かせ、「丹沢の貴婦人」と呼ばれます。草丈は60cm程になり、茎はジグザグになります。
花は黄色く、内側には赤褐色の斑点があり、下垂して半開します。花被片は内花被片と外花被片がそれぞれ3枚ずつあります。外花被片の基部には5~6mmの距があり、先端には棘状の突起があります。葉は卵状長楕円形や卵状披針形をしており互生します。葉の先は尖り、基部は心形で茎を抱きます。葉の長さは5~12cm、幅は1.5~3.3cmです。
名前の由来は地名によるもので、相模(サガミ)に生息しているジョウロウホトトギスです。スルガジョウロウホトトギスは、静岡県の駿河(スルガ)に自生しています。他に、紀伊半島南部に生息するキイジョウロウホトトギスも同じ仲間です。
和名:漢字
相模上臈杜鵑草
学名
Tricyrtis ishiiana (Kitagawa & T. Koyama) Ohwi
分類:目
ユリ目 Liliales
分類:科
ユリ科 Liliaceae
分類:属
ホトトギス属 Tricyrtis
分類:種
サガミジョウロウホトトギス T. ishiiana
花期
8月下旬~9月中旬
赤リスト
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
神奈川県:絶滅危惧ⅠB類(EN)
神奈川県:絶滅危惧ⅠB類(EN)
分布
神奈川県にある丹沢
分布地
その他
8月29日(丹沢の表尾根)
ホトトギスとは見た目が異なります。
サガミジョウロウホトトギスの変種であるスルガジョウロウホトトギスとの違いは、本種の方がサイズがより大きく、距がより長く、葯が黄色です。スルガジョウロウホトトギスの葯は褐色です。また毛の有無なども違いに挙げられることもありますが、サイズや色なども含め個体差があり、曖昧になっています。
生息地は丹沢の中で幾つかあり、書策新道とその周辺の沢に咲きます。日本固有種です。
散房花序
葉の痛みが早いです。
蕾
花の見頃は1~2週間です。
葉は艶があり、葉脈が目立ちます。
園芸用に採取、盗掘された事によって個体数が激減した歴史があり、鹿の食害もある事から、人の手が届かないような岩場や崖での生息が主になっています。