ルート
那須岳は日本百名山の1つですが、那須岳と言う名前の山はなく、那須五岳の中枢を成す茶臼岳、朝日岳および三本槍岳の事で、那須連山を意味します。最高峰は標高1,917mの三本槍岳です。
今回は那須岳の中で活火山で人気の茶臼岳だけでなく、展望が良い朝日岳、最高峰である三本槍岳の全てを登ります。またこの3つを登るのが人気のコースになっています。
日程は1泊2日にしています。バスの発着があり登山口でもある那須ロープウェイの最終バスの時刻が16:33です。自宅から始発の電車と新幹線を利用しても登山開始できる時間が8:55で、コースタイム通りの登山だと最終バスに乗れない可能性があります。乗れなかったら駅へ行けず、途方に暮れます。
急いで登山しても楽しめないし、コース短縮で登山口から一番奥にある三本槍岳を諦める事もできないし、もしトラブルがあった時、どうしようもなくなってしまいます。無理せず登山口から徒歩で行ける那須マウントホテルに宿泊の予約を入れました。
新幹線で那須塩原駅に到着すると那須ロープウェイ行の関東自動車バスに乗車します。バス停は3番です。バスには乗客はいませんでしたが、新幹線から一斉に降りてきた登山客で7:45と8:00発の2台のバスは満杯になりました。
7:45発のバスに乗り、那須ロープウェイに時間通りに到着しました。ロープウェイに乗って時間短縮する予定でしたが、強風のためロープウェイは運休していました。歩いても行けるため、那須岳登山口へ向かいます。
登山を開始して7分くらいの場所にある県営駐車場の側には、峠の茶屋が並んでいます。車があるとここに駐車でき、すごく便利です。すれ違った登山者は午前3時ごろ車で到着し、早朝登り始めたと言ってました。最終バスの時間を気にせずに日帰りが容易です。
青色と紫色のリンドウの蕾がありました。咲いている個体は見つけられませんでした。
登山道は緩やかな登りで、整備されておりハイキングコースのようです。紅葉の見頃になっていますが、全体的に山頂付近や稜線はガスっていました。紅葉はナナカマドのような真っ赤な色は少ない第一印象ですが、どうなのか楽しみです。
朝日岳の山頂部がちょうどガスに包まれていますが、これでもガスがとっても少なくなったタイミングで撮影した景色です。強風でロープウェイが運休になってしまいましたが、強風の良い所は、ガスってもガスが停滞せずに流してくれます。ガスったり晴れたりを繰り返してくれることを期待して登ります。
実際、ガスったり晴れたりを繰り返しており、三本槍岳は終始ガスってましたが、茶臼岳と朝日岳は午後はガスがなくなりました。
朝日岳の左にある剣ヶ峰も見えます。剣ヶ峰は積雪期のみのルートになっており、無雪期はトラバースルートを通ります。
登山開始して1時間もせずに峰ノ茶屋跡避難小屋に到着しました。強風とガスで気温が低く立ち止まっていると寒いです。半袖のシャツで登っているせいか、他の登山者に寒くないのか問われる事もありました。末端冷え性ですが、暑がりなので動いている分には涼しくて心地よいです。防寒着はリュックに入っているので準備は大丈夫です。
那須岳には避難小屋は2つありますが、どちらも原則、宿泊禁止になっています。
那須岳には温泉付の旅館が2件あり、三斗小屋温泉煙草屋旅館と三斗小屋温泉大黒屋です。どちらも個室のみなので予約が必要です。1泊の予定だったので、予約しようと思ったら全室満員でした。
峰ノ茶屋跡避難小屋は茶臼岳と朝日岳への分岐点になっています。茶臼岳の方を見ると山頂がガスっています。下山で利用するロープウェイは茶臼岳を登った先にあり、朝日岳と三本槍岳とは逆方向です。
先に朝日岳の方に行った方が効率的かつ、茶臼岳に登る時晴れてくれるかもしれません。朝日岳へ向かう事にしました。
手前に剣ヶ峰、奥にガスで隠れているのが朝日岳です。
剣ヶ峰をトラバースします。危険個所はありません。
那須岳は日光国立公園の一部に指定されています。ここに来るまで那須岳が日光国立公園とは知りませんでした。日光と言うと、男体山や日光東照宮、戦場ヶ原と言った最寄り駅が日光駅である場所に限定したイメージでした。
朝日岳の山頂がガスから顔を出しました。強風が吹いてなかったら景色は絶望的だったと思います。
剣ヶ峰の方を見上げると奇岩がありました。海岸沿いの崖で見かけるような岩のようでした。
山崩れした斜面の色合いが綺麗ですね。以前登った活火山の磐梯山を思い出します。山崩れしていない紅葉した斜面とのコントラストの対比も一見の価値がありました。
同じ場所にあるのに質が大きく異なる岩は火山の噴火と何か関係していそうです。火山といったらマグマが冷えて固まった柱状節理を見かける事もありますが、那須岳では見かけませんでした。
那須岳は紅葉で人気の山ですが、春先のシロヤシオやツツジなど花も綺麗な山です。ヒメイワカガミと言う白いイワカガミが咲きます。イワカガミと言うとピンク色の花は色んな山でよく見かけるので、白い個体は是非見てみたいものです。
観光客はロープウェイを使って簡単に茶臼岳に登れます。朝日岳や三本槍岳は登山者しか登らないようです。登山道はとても歩きやすく、誰でも朝日岳も登れそうと思っていたのですが、この先に難所が待っているのかもしれません。(前振り)
若干滑りやすい岩場を登っていきます。茶臼岳と剣ヶ峰がはっきり見えます。絶景ですね。ここが観光客を寄せ付けない一番の難所かと思ったら、その先にありました。
ここが一番の難所でした。と言っても、高度感は思ったほど感じませんでした。手すりもちゃんと設置されており登りやすいです。
ペットも同伴可能な山なのか、犬を連れた人を何組か見かけました。小型犬も平気でここを登り三本槍岳まで行ってました。
朝日岳分岐に到着しました。三本槍岳の方からガスが流れてきています。先程、茶臼岳の方はガスがなかったので、ガスにかかり気味の朝日岳に登ろうと思います。
分岐点から朝日岳の山頂まではすぐです。
標高1,896mの朝日岳に到着しました。360度の展望があります。景色はガスったり晴れたりを繰り返していました。
山頂からは茶臼岳だけでなく、今日歩いてきた登山道の道筋が良く見えました。壮大な迫力があります。ここからだと茶臼岳が活火山である事が分かる硫黄の噴気孔が見えませんでした。
紅葉が綺麗な鬼面山を間近で見下ろす景色は朝日岳ならではです。麓まで広々と見えるとは思いませんでした。
山頂で暫く休憩したら、三本槍岳へ向かうために朝日岳分岐へ戻ります。
紅葉の絨毯がモフモフしており、巨人になれたら寝転がりたいです。きつくない登りを進むと、熊見曽根分岐と1,900m峰の標識が続けてあります。標識を超えると清水平へ向けて下りになります。三本槍岳の方の景色はガスったままなので、休憩せずに進みます。
山の中に池があると少し心が躍るのは自分だけでしょうか。水面に山が逆さに映ったりしなくても、幾つもの池塘が点在している訳でなくても、部屋の中に飾られた目立つインテリアのような景色に変化を与えてくれると思います。
清水平は平坦な場所で、木道が整備されています。木道と言う人工物が自然の中にある事で、景観が人に造られた印象を受けますが、木道だらけの尾瀬の湿原のような趣ある景色を連想させるので、嫌いではないです。自然保護の観点でも木道は大切です。
中ノ大倉尾根分岐を左に進むと、あっという間に三本槍岳が目の前に近づいてきます。那須ロープウェイから三本槍岳の単純な標高高低差は600m未満なので、登山道がなだらかなら、三本槍岳もなだらかに見えます。
三本槍岳の名前がなだらかでないのは、名前の由来が昔、この山頂の領地がはっきりしないため、会津藩、那須藩、黒羽藩の3藩が領地を確認するため定期的に集まって槍を立てたからです。
茶臼岳・朝日岳・三本槍岳の3つの山の縦走ルートの中で、三本槍岳の斜面が一番赤く紅葉していました。
登山開始してから3時間かからないで、今日の登山で一番遠い場所にある三本槍岳の山頂に到着しました。標高1,917mです。全体的に歩きやすく、足の疲労は全く感じません。
ここで昼食を食べながらガスっている景色の回復を待ちました。
残念ながら食事を終えてもガスは消えなかったため、茶臼岳へ向かう事にしました。峰ノ茶屋跡避難小屋まで来た道を引き返します。目の前にある赤面山の紅葉が綺麗です。
こっちの写真の方が紅葉っぽくて好きですが、さっきの写真の方が山の形が隠れてなくて、どっちも好きです。どっちかなんて選べなかったので、両方載せてしまいます。
ガスがほとんど消えた三本槍岳です。こう見えても山頂だけは、まだガスったままだと思います。
木々で風が遮られると、温かいです。昼食中に追加で着た長袖に風よけも脱いでしまいました。
清水平まで戻って来ました。
三本槍岳の右に雲でなく、ガスが覆っているのが分かります。雲とガスの違いって何って山登りを始めた時、疑問に思ったことがありました。この景色の雲とガスを見る限りは似て非なる見た目であるのが分かります。
午前中、いたる所で発生していたガスは気が付けば三本槍岳のほうしかありませんでした。ガスがなくなると白っぽい霧に包まれたような景色でなくなり、本来の色が見えます。紅葉を見るなら本来の色を楽しみたいですね。
そういえば、登山道にトイレは一切ありませんでした。山での携帯トイレ所持率ってめちゃくちゃ低そう。また持ってても使うのに抵抗がありそうです。
朝日岳と茶臼岳のツーショット。茶臼岳や峰ノ茶屋跡避難小屋の方から見た朝日岳は崩れた岩肌で荒々しいのに対して、反対側のこちらから見た朝日岳は紅葉した木々で優しい印象です。一挙両得です。
個人的にはツーショットよりも、こちらの構図がお好みです。久しぶりに活火山に来たのでテンションがあがってます。那須岳の噴火警戒レベルは1で、活火山であることに留意です。最後にあった小規模水蒸気噴火は1963年でした。
熊見曽根分岐を通過し、朝日岳分岐へ向かってます。
どこから発生したのか分からないガスが茶臼岳を若干覆い始めてます。消えたり出現したり、茶臼岳の山頂に立つまでは持ちこたえてほしい。
雨を降らせそうな重たくて暗い雲も嫌な予感がします。
朝日岳分岐を通過し、峰ノ茶屋跡避難小屋へ向かいます。鎖はありますが、使わずに通行可能です。どちらかと言うと、積雪期の通行で鎖の必要性があるように思います。
一番の難所を通過すると、団体ツアーが固まってガイドの説明をうけてました。ガイド1名と登山客22人おり、これから朝日岳や三本槍岳へ向かうのかと思ったのですが、峰ノ茶屋跡避難小屋の方へ引き返し県営駐車場の方へ下山していきました。
剣ヶ峰をトラバースします。平坦な登山道が多い。山に来たのに、山に登っている感覚がないです。
行きはガスで隠れがちだった朝日岳も、はっきり見えてます。
行きに登って来た県営駐車場の方向です。歩いている時は見えませんでしたが、岩肌が牛タンハンバーグみたい。(変な例え方)
ボッカさんが峰ノ茶屋跡避難小屋から那須岳避難小屋の方へ歩いてました。旅館に荷物を届けに向かってますね。那須岳避難小屋の先には延命水と呼ばれる水場があります。
峰ノ茶屋跡避難小屋に到着し、茶臼岳へ向かいます。
硫黄で黄色くなった噴気孔から蒸気がでているのが分かります。
茶臼岳の方から見た朝日岳がある方の景色。
小屋から茶臼岳までは登りが続きますが、標高差は200mもありません。岩場ですが階段状に整備されていたり、ペンキでルートがマークされているため安全です。
しかしロープウェイを使わず県営駐車場から登って来た観光客の2人組の夫婦はペンキが塗られた岩場のルートが分からなかいようで、危険だからと茶臼岳に登らずに引き返してました。
ロープウェイを使って茶臼岳から下って来た観光客は何十組もこのルートを普通に下ってました。登りと下りで道の見え方や把握しやすさが変わりますね。個人差もありますし。
ロープウェイは午後になって再開しており、朝日岳の方から動いているのが見えてました。
茶臼岳のお鉢に到着し、山頂に立つ前にお鉢巡りをしてしまいます。噴気孔からの蒸気が硫黄の臭いと共に間近で感じます。姥ヶ平が奥に見えます。
茶臼岳の山頂に到着しました。太陽は増えてきた雲に隠れており、景色は暗い印象です。山頂にある那須嶽神社は麓にある那須温泉神社の奥宮です。
標高1,915mです。
この岩に登って立つと短い脚も長く見えるんだとか。信じるかどうかはあなた次第です。
ピンク色の岩が目立ちます。ロープウェイでこのまま下山しようと思っていたのですが、山頂から噴気孔を間近で見る事が出来なかったので、峰ノ茶屋跡避難小屋まで下って、噴気孔を見に行こうと思いました。
峰ノ茶屋跡避難小屋から無限地獄の噴気孔がある牛ヶ首までは行かず、途中まで行きました。
分かりにくいですが、足元近くにある噴気孔から蒸気が噴き出してました。
山頂付近にある噴気孔
峰ノ茶屋跡避難小屋まで引き返し、県営駐車場の方へ引き返します。
峠の茶屋がある登山口まで来ました。これで登山は終わります。あとは那須マウントホテルに向かうだけです。
那須ロープウェイまでの道のりに展望台がありました。
那須ロープウェイに到着です。なんと最終バスに間に合いました。日帰りできたんですね。しかし結果論であり、登山しに行く時は最終バスに間に合うか不安でした。
那須マウントホテルへは歩いて行きます。殺生石などの観光地があり、温泉街になっている那須塩原温泉郷から離れているためか、宿泊者は多くなく、宿泊料金もお手頃です。温泉街は那須ロープウェイからバスか車でないと行けないため、那須ロープウェイ側のホテルにしました。
那須マウントホテルに到着しました。今日天気が悪かった場合、明日天気が良ければ、明日も早朝から那須岳に登ろうと考えていたため翌朝の食事は予約していませんでした。
今日の登山で満足したので、明日の登山は中止にします。そのためチェックイン時に、朝食を追加でお願いしました。最初から1泊2食で注文した方が値段は安くなります。後から朝食を追加すると朝食代は2倍の値段でした。
部屋はこんな感じです。窓からは運が良ければ、朝に雲海が見えるそうです。夕食の時間まで温泉に入ってくつろぎます。
夕食はこんな感じでした。茶碗蒸しがなかったので、聞いたら出し忘れてました。陶器の中には牛肉が入ってます。ご飯がお代わりなのが良いですね。
明日の予定は、那須塩原温泉郷にある殺生石を観光するプランは事前に立てていました。しかし、それ以外は空白です。色々考えた結果、宇都宮駅に電車で途中下車して大谷資料館や大谷寺を観光する事にしました。那須塩原駅から東京駅まで100km以上あるため長距離切符の途中下車は何度でも可能です。