朝食は4:30からだったので、余裕をもって日の出鑑賞できるよう、1時間前位に起床し、40分前位から並びました。1巡目確約の学生の団体さんが数十人いたので、早めに並びました。遅く並ぶとぎりぎり1巡目に食べられない人が出てました。
食事は良かったです。朝のお米は夕飯と異なり不味い事があるあるですが、そこまで気になりませんでした。(たぶんどの小屋も朝のお米は夕飯の時の余り?)
かぼちゃが甘くて柔らかく、一番美味しかったです。
食べ終えたら、鷲羽岳を見ながら朝日を待ちます。
今日の予定は双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳と言った人気だけれど手軽には行きにくい山を裏銀座と呼ばれる道を歩いて登ります。4日間の工程の中で今日がハイライトです。今日だけ雨だったら、他の日が晴れでも今回の旅は残念に終わります。
まあ、もしそうなら3日目は弓折岳に行かず、鏡平山荘でなく双六小屋に再度泊まる等で、3日目に双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳を登る事も出来ますが、妥協案になります。
雲の間から朝日が顔を出してきました。空は全体的に雲が多く、朝日は見れないと思っていたのですが何とか大丈夫です。
気象庁では雲の量が空全体の8割までなら「晴れ」で、9割になって「曇り」となります。雲が半分の割合占めてれば「曇り」に感じてしまいますが、どっちにしても今は「曇り」ですね。(正確には雲の高さや厚さも天気の基準になるようなので、今は「晴れ」が正しい表現かもしれません。)
天気予報では「晴れ」だったから山に来てみたら、実際は「曇り」だったと感じてしまうのは天気予報の基準と人の感覚的な基準にギャップがあるからなんですね。
いまいちな朝日でしたが、雲が多ければ毎日続く猛暑も気温が上がらずに済むかも。けど、猛暑で気温高くて良いから雲がない方が嬉しい。
天に召されるような光が雲の隙間から差し込むのを見ながらリュックを背負って登山開始です。今日は標高2,500mから2,900mの間を登ったり下ったりを繰り返す10kmの道のりです。昨日と違って標高があるから涼しいかもしれません、双六小屋の向こうに伸びる登山道は槍ヶ岳へ続く西鎌尾根です。
双六岳へ向かいます。地図では三俣蓮華岳へ行くのに3つのルートがあり、双六岳経由、中道、巻き道があります。行きは双六岳経由で、3日目の帰りはお花畑になっている巻き道を通ります。中道が他の2つのルートより勝る魅力って何だろう?
コバイケイソウが花盛りの時期で集団で咲いていました。一番密集して広大に咲いているのは巻き道です。
双六岳の山頂が目の前にあるように見えますが、そこから平らな地形が続いており、更にその奥を登っていくと山頂です。
どの個体も花の一部が茶色く萎れる事なく純白です。立体的で花の数も多く、美しい。
槍ヶ岳の穂先が見えます。昨日は一日雲の中でした。
残雪が残る景色の中で鷲羽岳への稜線が少しずつ目の高さになっていきます。三俣蓮華岳の山頂がどこなのか、まだ想像できません。山頂らしきものが2つ左側にあり、どっちだろうと考えていたのですが、実際は奥にあるのが三俣蓮華岳でした。
ようやく山頂が見えてきました。この細長い滑走路のような登山道をまっすぐ歩けば到着です。標高2,800mの場所に広大な平地があるのはなかなか珍しいと思います。思わず走りたくなります。
ちなみに水晶岳の近くにある雲ノ平の平地は標高2,464mです。
双六台地から見た景色です。右側のピラミッドのような形の山が鷲羽岳で、そのすぐ左にある中央の山がワリモ岳です。一番左の山が今回の最終目標である水晶岳です。
双六岳は槍ヶ岳へまっすぐ続くように見える登山道が撮影できる事です。遮る木々がないのでスケールを感じました。
標高が2,860mある双六岳の山頂に到着です。朝の7時前になると次第に太陽の光が大地を照らし、明るくなってきました。360度何も遮るものがない展望があり、どこを見ても山ばかり。天気も良いと楽しくなってきます。
双六岳は花の百名山に選ばれており、選定理由の花はコバイケイソウです。
標高2,841mの三俣蓮華岳の方へ続く稜線です。まさかそこで雷鳥に出会うとは思いもしませんでした。明日出会う雷鳥の方が間近に見えました。
標高が高く、きつい登りもないため涼しいまま登山が出来ています。
太陽によってコバイケイソウが輝きだしました。
双六岳の後方にあるカール地形の黒部五郎岳が良く見えます。山中の岩場を「ゴーロ」といい、ゴーロから黒部五郎(ゴロウ)岳と言う名前になった山みたいです。
中道コースの方を見下ろしていると遠くに雷鳥の親子がいました。岩場だと体の色と同化して分かりにくいですが、草むらだと分かりやすいです。残念ながら子供は草むらに隠れて綺麗に撮影できませんでした。
初めて雷鳥を見たのは前回南アルプスの北岳に行った時ですが、その時は野生でなく保護されていた個体だったので、やっと野生の姿を見れました。
三俣蓮華岳の山頂手前で今日歩いた道を振り返ると双六岳と一番右奥に笠ヶ岳が見えました。いつの間にか雲がなくなって青空になっていた事に気が付きます。快晴だけど、標高が高くて暑くない。きっと下界は今日も猛暑です。
三俣蓮華岳に到着です。日本三百名山です。黒部五郎岳・雲の平・水晶岳の3方向への分岐点だけあり、山頂は若干混んでました。
双六岳に近いだけあって、山頂からの景色はほぼ同じです。
水晶岳へ行くルートが山頂から分からず、少しうろうろしてしまいました。山頂の標識の右奥に下るルートを発見し、そこを下れば大丈夫です。
次に目指す目印は三俣山荘です。そしてこれから歩く縦走路や明日歩く黒部川源流の谷底が見えています。
山頂から三俣峠に降りてきました。明日はこの峠から山頂へ向かわず、ここを左に進む巻き道を歩きます。既にコバイケイソウの群落が凄いですが、このコースが一番のコバイケイソウ密集地なので、明日をお楽しみに。
真下から見上げる三俣蓮華岳です。同じ山でも双六岳から見た姿、鷲羽岳から見た姿、どれも印象が異なってました。私は真下から見る三俣蓮華岳が一番好みです。
三俣山荘が近くに見えてきました。鷲羽岳へは永遠に続くような登りが待ち構えているので、山荘で休憩しようと思います。まさか、大事件が起きるとは思うはずもなく...
三俣山荘のテント場まで来ました。雪が目の前にあったので、綺麗な純白雪でないけれど、一応触ってしまいます。かじりたい気持ちは我慢です。
水場がありました。ここから今日宿泊する水晶小屋まで水場はなく、水晶小屋の水は宿泊者でも有料でおすそ分けは1人1Lまでという水に乏しいコースになります。
同行者が1人いたので、「私が2人分の水を汲んでいるから、小屋に先に行って、喫茶店のメニューでも見ておいて。」と言い、二手に分かれる事になりました。
数分で水を汲み終わり、目の前にある三俣山荘へ向かいます。
テント場の水場から徒歩1分で三俣山荘に到着しました。喫茶店をのぞくと同行者がいません。
トイレかと思って少し待ってみてもトイレからは出てきません。同行者のリュックも靴も見当たらず。あれ?私もしかしてずっと1人で登山しに来ていたっけ?
鷲羽岳へ先に行ったとは考えられず、もしかして黒部川源流の方に降りて行ったのかと思いテント場にある源流への分岐へ行くも、いや... まさかね。15分程時間が経っても姿が見えないため、小屋の人に同行者の写真を見せて探すのを手伝ってもらう事にしました。
そしたら30秒も経たずに、山荘の外で同行者の声と小屋の人の声が聞こえました。どうやら、まさかのまさかでした。黒部川源流の方へ降りて行ってました。
同行者は歩いても歩いても山荘に着かない事への疑問から黒部川源流から山荘へ登ってくる登山者に声をかけてコースの間違いに気が付けたようです。
登山計画は私一人で全てやっており、同行者は地図を持っていないので、危うく遭難する所でした。テント場から山荘までの間で迷子になるとは想定していなかったので、すごく焦った事件でした。
ちなみに本日、この山荘付近で迷子になった男性が別件でいたようです。
小屋の人にお礼を言い、脱線から回復したら喫茶店へ向かい、本来の予定に戻ります。カルピスとチョコレートケーキで心拍数を戻しました、
山荘を後にしたら鷲羽岳へ向かいます。山頂への登りが始まる手前の登山道では、ヨツバシオガマが咲いてました。
手で触れられる場所ではないですが、コバイケイソウが密集していました。
三俣山荘と三俣蓮華岳
三俣山荘から右下へ何となくルートが伸びているのが分かります。そこで迷子になったんですね。これから先、ずっと三俣山荘の事は迷子小屋と呼ばれる事になるでしょう。
鷲羽岳への登りが始まります。
危険な場所はありませんが、ひたすら登るので心拍数が簡単に上昇します。唯一の救いは、山頂まであとどれ位か視覚的に分かるので、メンタルにダメージが少ない事です。
結構登ったと思って振り返ると、まだまだでした。標高が少し上がる度に同じ景色を写真に収めてしまいます。どの写真もほぼ変わらない景色なのですが、目線の位置が違うからと、撮らずにいられないのです。
標高が高い方が同じ景色でもより好みです。だったら途中で撮らず、山頂で撮れば良いって思えますが、山頂目指している途中でガスったら泣き寝入りです。
なんだかんだ、ヒーヒーハーと―言いながら鷲羽岳の山頂に到着です。標高2,924mある日本百名山です。この山の好きなところは常念岳のように周りの山から見て、目立つ所です。すぐに「あそこ鷲羽岳だ!」ってなると思います。さすがピラミッド型です。
眼下にある鷲羽池です。槍ヶ岳と一緒に撮影するのが良い感じの写真なのですが、残念な事に雲がどんどん湧き出して槍ヶ岳は雲に隠れてしまいました。槍ヶ岳に登山しに来た人は昨日も今日も景色を見られず終わった人が多いかもしれません。
菓子パンでモグモグタイムをしたらワリモ岳へ向かいます。雲の量が結構増えて心配です。ここまで来たのに水晶岳の山頂から景色が見れなかったら悲しい。
せめて水晶小屋のTシャツは手に入れたい。程よい派手さとシンプルさのTシャツで、かつどの山のTシャツかぱっと見分かるので好みのTシャツ。
(残念な情報として摩擦に弱く、水晶小屋Tシャツを着てリュックを背負って下山したらTシャツの背中とリュックが当たる部分が結構傷んでました。リュックを背負ってはもう着ません。)
イワヒバリを発見しました。性別は分かりませんが、首元の毛が鷲を連想させ、とってもかっこいい個体でした。さすが鷲羽岳にいるだけの事はあります。
白いエンドウ豆を連想させるこの花は見たままのマメ科で、イワオウギです。学校の帰り道、道端でこんなマメ科の雑草が良く生えていたのを思い出します。
ワリモ岳の山頂には到着したのですが、途中でルートを見失っていたらしく、コース外から山頂に行きました。
すごく登りにくいし危ない場所だったので、コースから外れているのは気が付いていたのですが、正規ルートが良く分からず、山頂の直前だったので強行突破しました。滑落や怪我の原因になるので、ちゃんと気を付けたいところです。
山頂に行くのに回り込むのが正しかったようですが、回り込まずに突っ込みました。
ワリモ岳からの景色は鷲羽岳とほぼ同じです。水晶岳の真上に黒い雲で陽が全く当たっていないのが、すごく気になります。お肌のシミも気になるお年頃。最近腕にシミが増えてきてます。
花弁や花筒に毛があるので、イワギキョウではなくチシマギキョウです。同じ種類の花が密集しているだけで絵になります。
さっきのイワヒバリの方がイケメンでしたが、構図としてはこちらが好みです。ぼけた山肌のコントラストも良い味出していると思います。
ワリモ北分岐を通過し、水晶小屋を目指します。小屋が見えないのですれ違った登山者に聞いたら、小屋は裏側にあるため、目の前に行かないと姿は見えないと言われました。
待って!山頂にガスがかかってる!やめて!朝は視界が良く、午後はガスってるって良く経験するけれど... 「いやぁぁぁぁぁぁ!」
(´・ェ・`)アボーン... 死語でござりまつか?
水晶小屋に到着しました。結構小さな小屋ですね。定員30人ですが本日60人ちょっとの宿泊客でした。
えー、とりあえず荷物を置いて、雨具と水と貴重品だけ持って水晶岳の山頂を目指します。
(゚□゚;)アワワ(;゚□゚)アワワ ガスる前に急いで登るぜよ!
目の前に見えるのが俳優野口五郎でお馴染み野口五郎岳です。この山から芸名を付けたそうです。そして奥には烏帽子岳が見えます。岩肌と緑のコントラストが映えますね。
小屋から水晶岳までは約40分程です。雲ノ平はガスと雲の中に覆われ、水晶岳に向かって徐々にガスらせて来ています。まさに絶体絶命のピンチで若干小走りになります。
スケートリンク場で遊んでいきたい... そんな事言ってる場合じゃない!
山頂はもう見えてる。もう見えているのに、山頂から景色を見る事はできないのか!そんな絶望、僕は拒絶する!(性格をこじらせている事を隠し切れず、漏れ出しています。)
小屋がある方を振り返ると、ずいぶん歩いています。そして槍ヶ岳は安定の雲の中。
標高2,986mの水晶岳の山頂にたどり着きました。雲の平はガスの中でしたが、何とかこっちまでガスる事なく無事です。槍ヶ岳まで見えたら良かったのですが、これだけの景色が見えたのだから感謝しかないですね。
水晶岳は水晶が採取できる山で、その名前になっています。黒岳とも呼ばれ、山肌が黒い事が名前の由来です。
山頂からは黒部湖つまり黒部ダムが見えました。同じ北アルプスである後立山連峰がまだまだずっと遠くに伸びている事を考えると、北アルプスの壮大さを感じます。
小屋に戻ってジュース休憩です。水晶小屋の真下の斜面はお花畑になっていました。
そして、念願のTシャツを購入しました。値段は他の小屋よりも結構お高いです。大事にしないとね。
そしてなんと残り1枚のMサイズを手に入れました。残りのMサイズは試着可能な見本品の現品限りです。1か月先までヘリが来ないので在庫は補充されないようです。ラッキー!すべてに感謝!(お調子者になってます。)
夕飯はお代わり自由のカレーです。味は美味しいです。お米も大丈夫。山小屋と言ったらカレーは定番ですが、ここのは他と違ってました。具材が大きくてお肉も大きい!野菜は程よい食感で甘さを感じられ、お肉はお肉の味がちゃんとしてます。今まで食べた山小屋のカレーの中で、ここが一番でした。
食後は小屋の外で夕日を待ちます。雲の量が減ったようです。赤く染まり始めた大地の陽と影になった斜面の陰の色合いが幻想的でした。
今日登って来たワリモ岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳が見えました。
雲ノ平はガスに包まれていませんが、上空には若干低めの雲が停滞しています。その雲の隙間から太陽の光が大地へ降り注いでいます。綺麗ですが、これだと夕日は見れないかもしれないです。
夕日は雲の中ですが、景色は夕日の色に染まっていました。昼間雲の中に隠れていた槍ヶ岳の穂先が顔を出しています。水晶岳の山頂で見たかったです。今から再度行く元気はありませんでした。
水晶岳も夕日に染まっています。沈む夕日は見れなくても雰囲気は味わえました。
今日はこれでおしまいです。明日は鏡平山荘まで下山です。双六小屋に泊まっても最終日のバスは間に合いますが、初日に泊まっていない山小屋に泊まりたいと思います。
また明日は下山ルートに山頂がないため、少しだけ寄り道して標高2,592mの弓折岳の山頂に立つ予定です。この山は花の百名山になっています。ムシトリスミレが選定理由の花ですが、どんな花が見れたでしょうか。